Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
つづらの闇
「もう来そうなもンだが」
と、さっきから仲間の宅助、天神河岸の築出にたたずんで、お米の姿を待ちあぐねていた。
広い闇を抱えた埋地の船岸には荷主や見送り人の提灯がいッぱいだ。口々にいう話し声が、ひとつの騒音となってグワーと水にひびいている。
とんでもない大声で船夫の猛るのや、くるくるとうごいて廻る影が四国屋の帆印をたたんだ二百石船の胴の間に躍ってみえた。宅助は、そこの桟橋にも寄ってみたが、お米はまだ来あわしていなかった。
「ちッ、何をまごまごしていやがるんだろう」
舌打ちをしながら、提灯の中をぬけて、またトップリと暗い埋地の草原をぶらぶら歩き廻っている。
「冗談じゃねえ、いい加減立ちしびれてしまった。どこかに、一服やる所はねえかしら」
そう思って見廻すと、向うの浜倉から少し離れた所に、屋台うどんの赤い行燈が見えて、その明りに、雑な小屋のあるのがすぐと目につく。
側へ行って覗いてみると、小屋の中には藁ござや床几もあり、煙草の火縄なども吊るしてあるので、
「船待場だな」
と、うなずきながらござの上へドッカリと腰をおろし、首にかけていたまんじゅう笠をそれへはずした。