Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「拙者もそう感じましたが、証拠のないことにはと控えています」

「うむ」

「ことに、お久良のもてなしぶりが、あまりよすぎるのも疑わしゅうござる」

「なかなかご敏感じゃの」

「嫌な顔もみせず、この通りな善美な膳」

「それでツイ、箸がすぎ盃がすぎて、居眠りをし召されたか」

「そんなわけでもござりませぬが」と啓之助も少し眼がさめてきた。皮肉で居眠りをさまされた。

三位卿は膝もくずさず、時々、うしろの自鳴鐘をふりかえっていた。眼のさえた啓之助の頭には、船出のことと一緒に、お米の姿が描かれてくる……。

どうしたろうか、彼女の体の工合は?

大阪へ戻ってきては、また癆咳のほうがよくないのではないかな?

最初にこういう考えが頭へのぼる。

捨鉢になって人をてこずらす時には、実に憎い始末の悪い女と思うが、しばらく離れてみると、やはり自分にはなくてならないお米だった。

ほんの十四、五日というつもりで暇をやったのに、もう大分になる。もっとも船の都合ものびたのだが。

今夜は宅助と一緒に、ここの持船で阿波へ帰るといったが、どこかで、久しぶりに、あいたいものだ。いずれ船が出る間際には顔を見合す機会はあろうが、この竹屋卿という眼ざといのがいては、うっかり話も交わされまい。