Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
これは、三位卿も真偽を知らないことだが、孫兵衛のいうままを取次いだのである。
で、機嫌のよい阿波守は、謁をゆるして、当座の手当を与えるように近侍へいいつけた。
納戸方の侍の手から、金一封ずつが渡された。
すくない金ではないらしい。
「なお、いずれ後日には、何かのお沙汰があるであろう」
ということに、周馬も孫兵衛も予期どおりなつぼへ来たわえと、内心ニタリとして、殊勝らしく引退った。
だが頭巾のことでは、さすがなお十夜も冷汗をかいたらしく、腋の下を拭きながら、周馬とくすぐったがりながら、空いている浜小屋のひとつへ入ってくる、とそこに天堂一角が、水襦袢に馬乗袴の姿で、腕をくんで鬱いでいた。
「お」と、顔を見あわせて、
「どうした」
と、肩を叩く。
「う……」と一角は元気がない。
「水馬で疲れたとみえる」
「そうでもない」
「今、阿波守に拝謁してきた」
「ふーん……」
「貴公の推挙もあり、三位卿の口添えも利いて、すっかり面目をほどこしたというわけさ」
「そうか」
「よろこんでくれ」
「うム」
「おれも川島へ帰って、元の原士千石の身分になれる。周馬だって、いずれ、近習とまではゆかなくっても、馬廻りやお納戸ぐらいには役づくことになるだろう」