Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
ふたりの消息は、依然として謎であった。求め得たものは、そういう偶然が起こさせる錯覚と、吉運をおびやかす疑惑、それだけである。
で、有村は、前から阿波守には内密に考えていた、第二の案を実行しようとした。それを天堂や孫兵衛や周馬に打ち明けると、三人も異議なく雷同した。
重喜に話せば、無論許されないにきまっていることであった。許されないよりは或いは激怒を買うかもしれないと思ったので、秘密に出立しようとなった。
山支度! できうる限りの軽装で、竹屋三位卿以下、夜にまぎれて城下を抜けだし、剣山へ指して行った。
お十夜孫兵衛だけは、久しぶりで、途中郷土の川島郷へ立ち寄りたいというので、それより一日前に立っていた。そして、後の者を川島で待ちあわせ、そこで、何かの手筈を諜しあわせる約束。
孫兵衛にしても木の股から生れた男でない以上、川島へ帰ってみれば、老いさらぼうた祖父だとか、顔を知らない甥だとか、麦畑でねじ伏せた女だとか、古い記憶の中から彼を取りまくさまざまな人があった。
だが。
故郷へまわる六部の気の弱り――で、お十夜がこの際寸閑をぬすんで、郷里をのぞいたことは、ようやくかれの放縦な世渡りと、そぼろ助広の切れ味に、さびしい薹が立ってきたのを語るものである。