Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

お米は今、太郎助橋で、ワザと顔をそむけたお吉のことを考えて、なんとなくすまない気にふさいでいた。

で――うつむきがちに先へ行くと紐の宅助もしばらくは無言のまま犬のようについて歩く。

午後の陽ざしが足もとへ、細長い二つの影を引いていた。お米は、自分の影のうごくほとりに、ゆらゆらとこびりついてくる影を見て、踏んづけてやりたい気がした。

「アア嫌だいやだ。どうしたらこのうるさい鎖を切り離すことができるだろう? 何かいい智慧はないかしら? この男をまいてしまわないうちは、いらいらして、気が立って……」

お米はジリジリする力を糸切歯にこめて、必死に、急な策をしぼっていた。それにひきかえて紐の方は、自力を労さず他力主義に、お米の足の向くほうへ、ズルズルついて行くだけである。

「さっき、橋の上から声をかけた女――ありゃ一体だれですか」と、宅助、少し退屈をしてきたとみえて、追いつきながら話しかけた。

「あ、太郎助橋でかい?」と、お米は肩を並べさせないで、宅助よりは、またふた足三足先に歩いた。

「あの女は、ずっと前に、家で仲居をしていたことがあるので、私のおさな顔を知っていたのだろうよ。