Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「明らさまに申し上げましょう、しばらく、そこにお待ちを願います」

こういうと侏儒は、矮短な身を起こして、孫兵衛の死骸のそばへ歩いていった。

その酸鼻に、面をそむける様子もなく、孫兵衛の頭巾の上からもとどりをつかみ、胸をもって押しつけるような形をしていたかと思うと、ぶっすり、首を切り離して草の上へ置き、短い刃物の血糊を拭いて、ニヤリと意味のない、不気味な笑みをこちらへ向けた。

「……?」

斬りさいなんでも飽きたらない仇とはいえ、侏儒の刃物で無造作に切りはなされた孫兵衛の生首には、お綱も思わず面をそむけたくなった。

いつか、お千絵は、まだやまないふるえを歯の根にかんで、お綱の裾にすがっていた。

弦之丞、鴻山、万吉。

いよいよ不思議な侏儒の所作を見まもって、そこに立ち並んでいる。

侏儒は、首となった孫兵衛の頭巾を、その人々の凝視の前にとって見せた。

「関屋孫兵衛の悩みはこれでございました」

黒布を剥いでみればお十夜孫兵衛、死首ながら立派な男前である。

兇悪遂に身をほろぼした、かれの凄味と、断末の無念そうな眉間の影は消えていないが、頭巾をとれば年頃まだ三十に足らず、白蝋青隈の死相、ほつれ毛たれて耳朶に一点の血、生ける時の兇相よりは、むしろ美男に見えたくらいである。