Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

ヘエ、服装ですか、服装はもちろん襟掛けの袷で、梅に小紋の大柄を着、小柳繻子を千鳥に結んでおりました。そいつを尋ねておりますんで――そいつをネ、どうでしょう、誰かこの中で、そんな女を見かけた方はいますめえか、名前はお米という奴で、お米、お米、知っていたら、どうか教えておくんなさい」

と、言い終ると、こんどは誰ともなく、ワハハハと笑い出して、それをしおに、茶店中の者が、宅助を余興に見て、腹を抱えてしまった。

あまり真剣にすぎる身振は、他人の目に滑稽となって映るのに、まして、宅助の尋ねものが美人というので、誰もが笑わずにいられない。宅助もそれまでは、見得も何も忘れていたが、こう笑われた上に、誰も相手にしてくれない様子を見ると、いささか間が悪くなって、またこそこそと茶店を歩きだした。

すると、その中にも、たった一組、思いがけない知己があって、かれが茶店を離れると一緒についてきた者がある。

「宅助さん。もし、宅助さんたら」

二軒茶屋の床几へ茶代を置いて、こういいながら、あわてて、後を追ってきた手代ふうの男と、そして、三十がらみの商家の御寮人。

それは、四国屋のお久良と、手代の新吉だった。