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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

今の、早技にも似ず、鬘をつけたような五分月代に、秀麗な眉目の持ち主。

あっけにとられてする二人の目礼をうけて、どこかに微笑を含んでいる。

「お綱」

と、側にいる唐桟縞の女をみて、

「あれは森啓之助の仲間、拙者の顔を見知っているゆえ、当身をくれておいたのだが、しかし、四国屋のお内儀、さだめし驚いたことであろう。そなたからわけを話して、その後に、例の……船の便乗、頼んでみられてはどうか」

「私も、そう思っておりました」

「是非に、承諾して貰うように」

「はい、ひとつ、話してみることに致しましょう」

「うむ」

と、目くばせ。

法月弦之丞は、猫間川の堤に上って、往来の人影を見廻した。

木曾の刃囲を切り破って、お綱と万吉を助けながら、あの夜、からくも裏街道の嶮路へ脱した弦之丞は、それから数日の間に、夜旅を通して大阪表へまぎれて来ていた。

かれが着馴れた普化宗の三衣を脱いで、ちょうど、花から青葉へ移る衣がえの機に、黒奉書の軽い着流しとなったのも、ひとつは、阿波の詮索をのがれる当座の変装である。

しかし、その仮の着流しが、ひどく弦之丞を色めかして、猫間堤に腰をおろし、四方へ目をやっている様子なども、決して大事を胸に抱いている鋭い武士とは思われない。