Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「弦之丞さま――」と、お綱は上をふりかえって、「どうしたものでございましょう」
「四国屋のお内儀」
お綱に代って、こんどは、弦之丞が居場所から声をかけた。
「そちらの寮へ来てくれとの言葉、大きにもっともには思われるが、何せい、人目を忍ばねばならぬ吾らの身の上じゃ。ことに、蜂須賀家には仇も多い……」
こういって、ジイと、堤の上から見おろした。新吉は、何となく身がすくんで、これは、いよいよ容易なことではないと、生唾をのむ。
「よろしいか」
念を押すと、お久良はさすがに、大家の御寮人らしく、うなずいて、
「お身の上も、およそ」
と、片笑くぼでいった。
「それ故、いらざる邪推も廻るというもの」
「ご無理のないお話でござります。けれども、町人ではござりますが、私とて、四国屋のお久良、御恩人の、あなた方をおびき寄せて、蜂須賀様へ密告しようなどと、そんな、卑怯な、恩知らずではござりませぬ」
「うう、きっとな」
「固く、お誓い致します」
「その一言を信じるぞ」
「はい」
と、明晰に答えた。
弦之丞は、お久良の性根を見こんで、
「では、四国屋の寮とやら、どちらでござるか、お所を伺っておこう――」