Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
この頃になって浮藻ばかりか、桂子までが小次郎を恋し、そのため妹と争いさえし、今夜に至っては、あのありさまであった。
(小次郎が生きておればこそだ!)
で、殺そうとするのであった。
彼は朴訥で忠誠で、桂子と浮藻とのためであったら、何んでもやろうと思っていた。
桂子と浮藻とが彼にとっては、この世界の一切であった。
そんなにも大切なご主人姉妹が、小次郎を恋し合って争いをする!
これは堪えられないことであった。
以前には妹の浮藻ばかりが、小次郎を恋してつけ廻した。
それだけでも右衛門には苦々しく思われ、小次郎を白い眼で見たものであったが、現在は何んと桂子までが――飛天夜叉の総帥ともある桂子までが、小次郎を恋して狂態を演ずる!
(殺さないでどうするものか!)
鉞の刃を月光に照らし、右衛門は小走り出した。
右衛門の姿の消えたのを見て、早瀬はそっと木蔭から出で、谷の向こう側の燈火を目あてにまたあぶなっかしく辿り出した。
泣きつかれた嬰児は死んだかのように、早瀬の腕の中で眠り出した。
早瀬自身も空腹であったが、この子の空腹を思いやっては、道を急がなければならなかった。