Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
枯れ木、枯れ草、馬糞、牛糞、獣皮、獣骨、髪の毛などによって、出来あがっている燃料であった。
炭のような煙りが炉の口から吹き出し、湯気が釜からひときわ立った。
が、釜は鳴らなかった。
時がズンズン経って行く。
煙りと湯気とは束となって蜒り、莚の隙から出て行った。
が、それとは反対の方へも、煙りの束が出て行った。
そっちにも口はあるものと見えた。
突然姥が立ち上がり、壇から床へ下りる姿が、巨大な御幣さながらに見えた。
「駄目じゃア――ッ」
と、姥は吼え声を上げた。
釜のまわりを馳け巡りながら、つづけざまに姥は吼え立てた。
「贄が不足じゃ! 受けてくださらぬ! ……叩っ込め男を! 叩っ込め女を! ……人柱じゃ! 人間の贄じゃ! ……可哀そうだが人身御供じゃ! ……範覚ウ――ッ」
と、範覚の前へ立った。
「連れて来オ――ッ、贄を! 人間の贄を!」
この時女の叫び声が、どこからともなく聞こえて来た。
「助けて――ッ」という声であった。
垂れている荒莚の向こうの部屋から、聞こえて来る声とは思われなかった。
反対の方から来るようであった。
この部屋を充たしている煙りや湯気が、莚の垂れている方とは反対の方へ、やはり束をなして流れて行ったが、その方角から来たようであった。