Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
――少し酔ってもいるようであったが、それよりも家を久しくあけて、遊びほうけて来た心のひけめを、喋舌ることによってごまかそうと、大弥太はむやみとまくしたてるのであった。
暦をのせた塗りの小机を、しずかに横へ押しやって、側に立っている燭台に火を、少しかき立てて明るくし、蓬生はつくづくと良人の顔を、少し涙ぐんだ眼で見詰めたが、
「お父上ご病気ともご存知なく、二月に渡って、うかうかと他国へさまよい歩かれたあなた、何んと申してよろしいやら……」
「ナニお父上ご病気とな※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
輪廓はさすがに端麗ではあるが、荒んでいるため卑しく見える顔へ、驚きの色をにわかに浮かべ、大弥太は声をはずませて云った。
「ご病気とな? ご大病か?」
「ご大病もご大病、ご乱心あそばされたのでございます」
「乱心! それじゃア気違いだな!」
「それもあなた様のお身の上を案じて……」
「俺ア昔から気違いは嫌いだ」
「ご乱心なされたのでございます」
「ナーニ、俺としてもそういう親心や、お前のおろそかでない志に、まったく盲目というのではない。が、ただ俺としては狭くるしい、この十津川などに埋ずもれて、豪族でござるの土豪でござるのと、いわば井の中の蛙となって、一生を終わってしまうのが、どうにも我慢が出来ないのさ。