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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme

Aozora Bunko

尊い犠牲

足利直義は狼狽し、女影原や小手指原などで、時行の兵と戦ったが、戦い利あらず敗北し、鎌倉の地にとどまることさえ出来ず、西をさして落ちることになった。

二十三日の深い夜、山内村まで落ちて来た。

と、直義は馬を止め、傍を駈けていた家臣の一人、淵部伊賀守義博を呼んだ。

「義博」

と直義は声を忍ばせ、

「われらが宿願成就にあたり、最大の障害を与うるもの、前征夷大将軍大塔宮様じゃ。……時行などの手にお渡りあっては、後難計るべからざるものがある。……まことにおいたわしい限りではあるが……」

「…………」

義博は無言で唾を呑んだ。

「そち二階堂ヶ谷に引っ返し……」

「…………」

「宮家の御首級……」

「それは余りに」

「行け! 主命じゃ! 躊躇は許さぬ!」

「…………」

やがて軍からひき離れ、郎党六騎をひきつれて、二階堂ヶ谷へ引っ返して行く、淵部義博の甲胄姿が、星月夜の下に認められた。

幽かにともされた燈火の下に、この夜宮家には経机に倚られ、お経をしずかに読誦ましまし、寂然と端坐おわされた。

御髪延びて肩にかかり、御口髭も御頤髯も、まばらに生えた御顔は、二百日に余るご幽居によって、蒼白の御色に眺められた。