Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
三十五
「どうするって、仕方がないわ、ねえあなた。老少不定っていうくらいだから」
奥さんはことさらに私の方を見て笑談らしくこういった。
三十五
私は立て掛けた腰をまたおろして、話の区切りの付くまで二人の相手になっていた。
「君はどう思います」と先生が聞いた。
先生が先へ死ぬか、奥さんが早く亡くなるか、固より私に判断のつくべき問題ではなかった。私はただ笑っていた。
「寿命は分りませんね。私にも」
「こればかりは本当に寿命ですからね。生れた時にちゃんと極った年数をもらって来るんだから仕方がないわ。先生のお父さんやお母さんなんか、ほとんど同じよ、あなた、亡くなったのが」
「亡くなられた日がですか」
「まさか日まで同じじゃないけれども。でもまあ同じよ。だって続いて亡くなっちまったんですもの」
この知識は私にとって新しいものであった。私は不思議に思った。
「どうしてそう一度に死なれたんですか」
奥さんは私の問いに答えようとした。先生はそれを遮った。
「そんな話はお止しよ。つまらないから」
先生は手に持った団扇をわざとばたばたいわせた。そうしてまた奥さんを顧みた。
「静、おれが死んだらこの家をお前にやろう」