Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
「うん」と云って栄二がふところへ手を入れた、「おれたち、あんまり持ってねえんだ」
女は笑いながら、そんな心配はいらないと云い、二人を立たせて、奥へ案内した。のれんをくぐったところに、四帖半くらいの小座敷が三部屋並んでいる。右側は隣りの塀で、塀隠しに竹が植えてあるが、まばらな葉がみな茶色にちぢれて根じめのつもりだろう、ところどころに据えてある苔付きの石の、苔もまたかさかさに乾いていた。
「ここがいいわ」女は二人を端の四帖半にとおして云った、「いま行燈を持って来るわね」
小座敷ながら半間の床に掛物があり、隣りとの襖を隠すように、二枚折りの小屏風を立て、四角な桐の火鉢には火がおこっていた。自分で本名だというのだから慥かだろう、まもなくおかめが火のはいった行燈を持って来、続いてもう一人が蝶足の膳を二つ持って来た。
「こんなことして、大丈夫かな」さぶが心ぼそそうに囁いた、「もしも勘定がたりなかったらどうする」
「うるせえな」栄二は胸のときめきを隠しながら云った、「向うは店の名を知ってるんだ、そうでなくったって、まさか首を取ろうとは云やあしねえだろう、そうわさわさするなよ」