Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
栄二は笑った、「子供みてえなことを云やあがる、そいつは酔っぱらいのくだだ、一生でも好きとおすなんて、草双紙じゃああるめえし、なま身の人間にできるこったと思うのか」
「おれのような者ならばな」と云ってさぶは顔をあげ、弱よわしく微笑した、「――おら、あの人のことを一生忘れねえつもりだ」
それから急に調子を変え、栄二のうしろを指さしながら、手習いを始めたのか、とさぶがきいた。
「五、六日まえからな」と栄二が答えた、「おれが字を書くんでみんな吃驚したっけ、それから自分たちも習いてえっていうんで、いま五人ばかりに仮名を教えてるんだ」
よかったなあ、とさぶは云った。栄二がそんな気持になったので、しんそこ安堵したというようすだった。
「やっぱり栄ちゃんは」とさぶは続けて云った、「どこへいっても人の上へ立つようにできてるんだな」
「みせようか」と云って、栄二はうしろへいざり、小机の上から巻紙を取って戻ると、それをさぶに渡した、「それを見てくれ」
さぶは巻紙を披いてみ、それから不審そうに栄二を見あげた、「――これはおいらの手紙じゃあねえか」
「おれの手本なんだ」と栄二は云った、「おれはその字を手本にして字を習ってるんだぜ」