Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
十一の六
悪いことに、相手の男がすっかりおのぶに惚れこんでいて、酔ったときなど、もしこの縁がまとまらないようならおのぶを殺して自分も死ぬ気だ、などと云う。それも口だけではなく、本当にやりかねないような男なのだ。すみよしの主婦はまえからその男の腕を信じきっていて、これから店を続けてゆくには、その男に来てもらうほかはないと、繰返し泣いてせがむのだという。
「とびだせばいいだろう」
「と、栄さんは云うでしょ」
「とびだせばいいんだ」と栄二は云った、「すみよしのかみさんだってそれほどの年寄りじゃあない、その板前とたいしてとしは違わないんじゃないか」
おのぶはかぶりを振った、「おかみさんは三十八よ」
「女ざかりじゃねえか、三つとし上の嫁はかねの草鞋をはいても捜せっていうぜ」
「ばかねえ」おのぶはふきだし、手で口を押えてから云った、「それは一つとし上っていうのよ」
おかみさんにも男のほうにも、そんなけぶりはまったくみえない。万に一つ、そういうことになるとしても、そうなるまえに自分がすみよしを出ることは、自分がちくしょう同様になることだ。
「あたしが女衒の六から逃げ、親たちの食いものにならずに済んだのも、みんなすみよしというお店があったからよ」