Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
「いい知恵なんかおらいらねえ」と清七は首を振った、「おらあただ、おめえの気持さえ聞かしてもらえばいいんだ」
「だから、それは困ると云ってるだろう」
「やってみろとか、よせとか、たったひと言でいいんだがな」清七はすがりつくような声で云った、「おめえは若えけれど苦労しているし、理屈だけでものごとを片づけるような性分じゃあねえ、おめえならおよその見当はつく筈だ、なあ栄さん、たったひと言でいい、やれとかよせとか云ってくれめえか」
栄二は空を見あげた。春とはいってもまだ二月中旬のことで、夜の空気は冷たく、月を孕んだ雲の白っぽい明るさには、地上の人間たちの悲しみや嘆きや、よろこびのむなしさを劬り慰めるような、ひそかなあたたかみが感じられた。
「どうしてもだめだ、勘弁してくれ」やがて栄二は顔をそむけたままで答えた、「おれにゃあなんと云いようもないよ」
清七は栄二の言葉をよく噛みしめてみるように、自分の足もとを見ながら考えていて、それからそっと溜息をついた。
「むりなことを云って済まなかった」と清七は呟くように云った、「おらもよく考えてみるよ、じゃ、またな」
ああ、またなと答えて、栄二は頭を低く垂れた。