Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
りゅうは歯を剥きだしたが、なにも云わなかった。栄二は向き直り、身を跼めて丸薪の一本を拾うと、右手で握って、義一に見せた。
「こうやってね、こいつを握って、手の指を馴らすんだ。医者にすすめられたんだよ」
「聞いたかい、りゅう」と義一は栄二から眼をはなさずに、口の隅で云った、「医者にすすめられたんだとよ、この野郎、ひとをこけにしやあがるぜ」
「嘘だと思うなら医者にきいてみてくれ、こうしてこれを握ったりはなしたりして、指に力がつくと躯にも精がつくっていうんだ」
「その棒を捨てろよ」と義一が冷笑しながら云った、「おめえの覘いはわかってるんだ、その棒を下へ置かねえか」
「いいよあにき」とりゅうが云った、「おれがいうことをきかしてやらあ」
「待ってくれ」栄二は不安定に躯を曲げた、「おれにはこの棒は大事なんだ」
しかし捨てろと云うなら捨てるよ、そう云いながら眼尻で、近よって来るりゅうを見、丸薪を土間へ置いた。そして、跼めた上半身を起こすなり、撞木杖を持ち直すと、大股にとんで、板の間の端に立っている義一の足を、力まかせに殴りつけた。ちんばだとみて気をゆるしていた義一は、すばやくとんだ栄二の足に眼をみはったとたん、全身の力をこめた一撃をその脛にくらった。