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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

ではないと思った、と云い、そこで平蔵はむっつりと黙りこんだ。

祝言についての打合せを済ませ、筆屋の店を出てほんの一丁ばかりゆくと、晴れている空から雨が降ってきた。見あげると、青い空に白と鼠色の雲が重なりあい、ひと固まりの黒い雨雲が、南のほうから速い速度でひろがりつつあった。

「夕立が来そうだな」と栄二がその雨雲を見ながら云った、「いそごうか」

「それよりおらのうちへ寄ろう」

「――おまえのうちだって」

「おらが手を打っといたうちよ」とさぶが云った、「そこのろじの中だ、どぶ板に気をつけてくんな」

右側が田圃で、その向うに上野の丘と森が見えた。田へ引く水だろう、細い流れにひと跨ぎの橋があり、それを渡って、左側にある八百屋の角を、ろじへとはいった。この辺は火事もないのか、両側から庇の触れあうような長屋は古く、軒も柱もかしがっているし、どぶ板から溢れ出る汚水が、異様な臭気をろじいっぱいにふり撒いていた。

ひでえところだなと、栄二が思わず顔をしかめたとき、雨がうちまけるようなひどい降りになり、さぶは長屋の一軒へとびこんだ。

「いるかい、おせえちゃん」彼は障子の向うへ呼びかけながら、栄二に手招きをした、「おせえちゃん、おらだ、さぶだよ」