Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
「念には及ばねえ」と栄二が答えた、「あがれよ」
さぶは障子をあけて、二人を見ないようにしながらあがった。
「気分はどうだい」さぶは火鉢の脇に坐りながら云った、「もっと早く来ようと思ったんだが、おそくなって済まなかった」
栄二はさぶの顔をみつめた、「来るこたあなかったんだ、ここへ来ちゃあいけなかったんだろう」
「そんなこたあねえさ」さぶは眩しそうにまたたきをし、吃りながら云った、「――酒を飲みてえんだが、いけねえか」
「そのまえにきくが」さぶの顔にあらわれた表情から眼をはなさずに、栄二は云った、「おめえ親方からなにか云われてきたんだろう」
「とにかく一杯やりてえんだ」そう云ってから、さぶはいそいで付けたした、「外はおっそろしく寒いんでね、おらあ躯の芯まで冷えちまってるんだ」
「酔わなければ云えねえようなことか」
「たのむよ」と云ってさぶは立ちあがった、「おらあめしもまだなんだから」
そして土間へおり、自分で注文しにいって戻ると、元の場所へおちつきなく坐った。おすえが栄二を見て、あたしここにいていいでしょうかときき、栄二が答えるまえに、いてもらいたいとさぶが云った。