Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
年寄の運動には一番いい。」
縁側の半ほどから奥の八畳の間に書帙や書画帖などが曝してある。障子も襖も明け放してあるので、揚羽の蝶が座敷の中に飛込んで来て、やがてまた庭の方へ飛んで行く。鶴子は風呂敷包を膝の上にほどいて、
「先日のお召物を仕立直してまいりました。あちらへ置いてまいりましょう。ついでにお茶でも入れてまいりましょうか。」
「そう。一杯貰いましょう。茶の間に到来物の羊羹か何かあったと思うが、ついでにちょっと見て下さい。」と老人は鶴子が座を立つのを見て縁側に曝した古書を一冊一冊片づけはじめた。五分刈の頭髪は太い眉毛や口髭と共に雪のように白くなっているので、血色のいい顔色はなお更赧らみ、痩せた小づくりの身体は年と共にますます矍鑠としているように見える。やがて鶴子が番茶と菓子とを持って来たのを見て、老人はそのまま縁先に腰をかけ、
「暫く見えんから風邪でも引いたのかと思っていた。市中では今だにインフルエンザがはやるそうだな。」
「お父さまは去年からお風邪一つお引きになりませんのね。」
「今の若い者とは少し訓練がちがうからな。はははは。その代りふだん丈夫なものはころりと行くからな。