Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
樅も立っていた。樅などの老いて倒れたあとは其儘に小さな野菜畑にもなりそうに広く苔づいて朽ちているのがあった。到る所のそれらの朽木には種々雑多な茸が生えていた。食えるもの、毒なもの、闇に置けば光るものなど、私には到底見分けもつかず名も覚えられないものであった。そのうちでも美味なものというのを老爺は行く行くもぎ取って行った。今夜宿で煮て貰おうというのである。
国有林であるというこの森林を我等はただ黙々として一時間も一時間半も歩いて行った。行けども行けどもただ樹木であり、幹であり、黄葉であり、落葉であるのだ。洩日の美しい所もあった。じめじめとうすら冷い日蔭をくぐって行く所もあった。たまたまからりと晴れた所に出たと思うと、直ぐ足もとから下が何千尺の山崩れとなった断崖の上に立っているのであった。
丁度そうした崖に近い所にちょろちょろと水が流れ落ちていた。日を真正面に受けて、下を覗けば目眩く高さだが、径のめぐりには綺麗に乾いた落葉が散り敷いて極めて静かな場所であった。其処で我等は昼食をすることにした。時計も折よく十二時にほどなかった。
落葉の上に坐ると、遥に崖下に白々と輝いて流れている渓が見えた。