Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
濛々とした煙は今は空をさして立つことなく、山に沿うて我等の立っている真白な川原の方にしめりを帯びて流れ落ちて来ているものの如くであった。
異様な緊張が私の心に起った。そして、静かに杖を両手に執って見廻すと徒らに広いその岩の原の中にはもう径というものがついていなかった。夏を過ぎては往来もないらしく、稀に通った人の足あとは先日来の長雨ですっかりかき消されていた。老爺にもよく行くさきの見当がつかなかった。で、両人して手分をしてあちこちと適当らしい方角を選んで岩から岩を渡って行った。そして其処に私は旧い地図には記されていない一つの大きな池、兼ねてよく話には聞いている大正池というのを眼の前に見た。
大正池は噴火の熔岩が梓川の流を堰き留めて作りなした池である。蒼々と湛えられた池の中には先に見て来たと同じい枯木の林が白々として梢を表わし、枝を張っているのである。そうした森全部を地殻と共に此処まで押し流して来たのか、それともまだ以前の森のままでいる間に下を堰かれて水に浸ったものかであるであろう。私は見失わない様に岩の中の最も巨大なものの傍に案内人を置いて独りでその池まで石原を横切って行った。