Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
正直にそのつもりでいると、終に草鞋をぬがされた。そして一二杯と重ぬるうち、いつか知らこの二三日来の身体に酔の廻るが速く、うとうととなっている所へ、なんの事だ、いま別れて来たばかりの福田君がひょっこりと立ち表われた。長距離電話で呼び出されて、自動車で駆けつけて来たのだそうだ。そうなるといよいよ私も腰を据えて杯を取らざるを得なくなった。
折から雨が降り出した。この雨では屹度鮎の落つるのが多かろうと、急に夕方かけて其処から二里の余もある野口の簗というへ自動車を走らす事になった。
簗は山と山の相迫った深い峡谷に在った。雨は次第に強く、櫟の枝や葉で葺いた小屋からは頻りにそれが漏り始めたが、然し、どんどと燃える榾火の側に運ばるる鮎の数もそれにつれて多くなった。連れて来た二三人の中に今日初めて披露目をしたという女がいた。今迄一切黙って引込んでいたのが、その雨漏に濡れながら急に唄い出した声の意外にも澄んで清らかであったも一興であった。
時雨降る野口の簗の小屋に籠り落ち来る鮎を待てばさびしき
たそがれの小暗き闇に時雨降り簗にしらじら落つる鮎おほし
簗の簀の古りてあやふしわがあたり鮎しらじらととび跳りつつ