Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
あわれな汽船は其処に入りながら寧ろ物悲しい汽笛を長々と鳴らし始めた。
私は元来今日はこの船で松崎まで行くつもりであった。イヤ、若し船の都合がよかったらずっと一息に下田まで行ってもいいと思っていた。が、今日は一切此処より出船しないという。それもまた強ちに悪くないと私は快く諦めた。そして何処に泊るも同じだからこの思いもかけなかった小さな港に一夜を明すも面白かろうと心にきめた。艀に移ろうとして不図見ると例の老人が――彼はこの次ぎの田子港まで乗る筈で、其処には迎いの人も来るべき筈であったのだそうだが――幾つかの手荷物を持て余している。私はそれを手提一つと風呂敷包一つとに区分させ、自身のものをば腰に結びつけて、その手提をば代って持ってやることにした。サテ、陸に上って、私はこの老人と別れ様としたのだが、此処から田子まで距離が約一里、其間に峠もあると聞いて、その田子に宿屋の有無を訊きながら其処まで老人と一緒に行く事にまた覚悟を変えた。そしてとぼとぼと歩き始めると、船にいたよりも私は身体のふらつくのを感じた。最初の峠は随分嶮しく、且つ路が水の無い渓見た様な路なので歩きにくい事夥しい。