Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
さらに私を驚かしたものがあった。私たちの坐っている路下の沼のへりに、たけ二三間の大きさでずっと茂り続いているのが思いがけない石楠木の木であったのだ。深山の奥の霊木としてのみ見ていたこの木が、他の沼に葭葦の茂るがごとくに立ち生うているのであった。私はまったく事ごとに心を躍らせずにはいられなかった。
沼のへりにおほよそ葦の生ふるごと此処に茂れり石楠木の木は
沼のへりの石楠木咲かむ水無月にまた見に来むぞ此処の沼見に
また来むと思ひつゝさびしいそがしきくらしのなかをいつ出でゝ来む
天地のいみじきながめに逢ふ時しわが持ついのちかなしかりけり
日あたりに居りていこへど山の上の凍みいちじるし今はゆきなむ
昂奮の後のわびしい心になりながら沼のへりに沿うた小径の落葉を踏んで歩き出すと、程なくその沼の源とも云うべき、清らかな水がかなりの瀬をなして流れ落ちている処に出た。そして三四十間その瀬について行くとまた一つの沼を見た。大尻沼より大きい、丸沼であった。
沼と山の根との間の小広い平地に三四軒の家が建っていた。いずれも檜皮葺の白々としたもので、雨戸もすべてうす白く閉ざされていた。