Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
から眼を離すことが出来なかった。
何という高さにその嶺は照り輝いていたことであろう。たとえそれを背後にして登って来たとは云え、既に幾度か振り仰いでいねばならなかったこの嶺に、今まで気づかずにいたのは、まったくそれが思いがけぬ高い中空に聳えていたからである。毎日毎日見馴れているこの山でありながら、全く異った趣き、異った高さで仰ぎ見ねばならなかった。斯うした場合によく思い出す言葉の、高山に登り仰がずば高山の高きを知らず、という意味が事新しく心に湧いて来るのであった。その意味に於て乙女峠から見た富士もよかった。愛鷹のいただきに這い登って見た富士もよかった。また遠く信州の浅間、飛騨焼岳の頂上に立って足許に湧き昇る噴煙に心をとられながらも端なく遥かな雲の波の上に抜き出でている富士を見出でて拝み度い思いに撲たれたこともあった。が、乙女愛鷹は余りに近く、狎れ過ぎる感がないではない。焼岳浅間山では余りに遠くて、ただ思いがけなく望み見た心躍りが先立ったものとも云い得る。そういう点に於て富士を望み仰ぐに同じ山地からするにはこの天城などが最も恰好な位置に在るのではあるまいかとも自ずと思い出でられたのであった。