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Japanische Klassiker mit Furigana

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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

笛

とんとろ、とんとろ、とんとろとん。

笛

樺太は中知床岬の東、渺々たるオホーツク海のただ中、見渡すかぎりは円い水平線と氷雲、

燻された反射光、

ああ、日の小さい小さい空。

笛だ。

あ、笛が鳴る。

嚠喨と、起って響くその音いろ。

何かしら薄ら寒いが、いい凪である。明るいようでもりやすい日射し、照ってもまた光り耀かぬ黒い波濤の連続、見れば見るほど大きな深いうねりである。

その中に笛の音いろが澄みつつある。

吹いているのである。誰が吹くのか、その笛の音は、ただ一色に響いている。

空と海との、この焦点。

ひょうひょうふりょう、りょうふりょう。

まさしくお能の囃子である。

私は私の船室の前に、その白い壁に凭れ気味に、籐の腕椅子によりかかっていた。

私の右にも左にも同じような籐の椅子が並んでいた。人々が腰かけていた。

帆綱の影、潮じみた欄干の明り、甲板の板の目、鐶のきしり、白い飛沫、浅葱いろの潮。

うねるとも見えぬ果しもないうねりの丘陵。

はろばろとした波濤の畳みである。

宏大な海、小いさなのは私たちだ。

笛の音は中甲板の巨大な檣の下、三本立った白茶に藍の開き耳の、これも大きな通風筒の向う蔭から響いて来る。