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Japanische Klassiker mit Furigana

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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

激情の過ぎ去った後の父は、無論その時ほどには私を憎みはしなかった。けれど、自ら進んでどうしてやろうというような親切は爪の垢ほども持ち合さなかった。たといあったとしても、父にはそれをどうすることもできなかったであろう。

いつまで考えていても、どうするという計画は立たなかった。私はもう、当って砕けるよりほかに途がないと思った。何でもいい、ただ行って見よう。行ってどうかしよう。こう私は腹をきめた。そして、いよいよ明日行こうときめた前の日、私は父にきっぱりと言った。相談したのではない宣言したのだ。

「明日、東京へ行きます」と。

父も叔母も今はもう私を止めなかった。私はその翌朝、ひとり父の家を出た。

私の懐中には汽車賃ともでやっと十円ほどあった。

一脚の机もなければ、一枚の蒲団もない。一本の雨傘さえ父は私のために用意してくれなかった。やがて自分の上に襲うて来る雨をも風をも寒さをも、すべて私は自分の身をもって防がねばならなかった。しかし私は恐れなかった。私の肉体にははちきれる緊張があった。

自分にしっくりと合った生活を求めて、どこかにそうした生活があると信じて、私は私の偽りの家を捨てた。