Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
しかも、公園近くに妾をかこっているとかで、大抵の時はその方で日を暮すようになっているのだった。
私がこの家に行ってから一月ばかり経ったある日、「久し振りに聖天さまへお詣に参りましたのでちょっとお寄りしました」と言って来た二十五、六の女があったが、後で奥さんから私に「あれはお父さんの妾なのよ」と教えられたことがある。疎い縞お召の羽織を引っ掛けて、束髪に巻いていたが、玄人染みた粋な女だった。
大奥さんというのは病的なまでに潔癖家で、部屋の中の畳の上をさえスリッパを穿かねば歩けないといった方であったが、それでいておかしいことには、そのスリッパで便所の板の間をじかに踏む矛盾を平気でやるのであった。若い時にはちょっと好かっただろうと思われるほど、今もなお色艶のいい女で、風呂に行っても二時間はたっぷりかかるほどのおめかし屋であった。
たまに大旦那が帰って来ると、火鉢を中に向い合わせに座って、ひっきりなし何か愚痴をこぼしているのだったが、何でもそれは妾のことについてらしかった。
「うるさいなあ、好い加減におし……」と、大旦那が怒って帰って来たばかりなのにまたも飛び出して行ってしまうのを、私は時々みとめた。