Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
私は驚いて立ち止まった。
「もう十一時すぎですわ。この辺でおわかれしましょう」
「そうですねえ、大分遅くなりましたねえ」と伊藤はしかし落ち着いた調子で言った。そしていつもは自分から帰れ帰れと言うのに、今日に限ってなかなか別れようとはしなかった。
「実は僕はもう少し話したいことがあるんです。上野のあたりまで歩きませんか。帰りは電車に乗ることにして」
「ええ。じゃ、もっと歩きましょう」と私の心の奥にあるものが、私の理性を押しのけて突嗟の間に答えてしまった。
黙然として、思い思いのことを考えながら、私達はまた歩き出した。そして、上野の不忍の池の畔に来たときに自然と二人の足は停まった。
静かな晩だった。あたりにはもう人影はなかった。池の端の柳の木の下に蹲って、落ちた木片で地に何か字を書きながら、伊藤は続けた。
「今も話したように、あなたが湯島にいた頃から、僕は自分を抑えに抑えていたのです……だが近頃はもうどうにもならなくなってしまったのです。あなたを隣人として見ることだけでは満足出来なくなったのです……この意味おわかりですね。……うちで本を読んでいてもいつの間にか思いはあなたの上に飛んでいるのです。