Japanische Klassiker mit Furigana
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 卍 (まんじ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.618 Zeichen · 258 Bildschirme
と、私がそないいいましたら、「僕ら死んだら、この観音様『光子観音』いう名アつけて、みんなして拝んでくれたら浮かばれるやろ」と夫もいうて、彼の世い行ったらもう焼餅喧嘩せんと仲好う脇仏のように本尊の両側にひッついてまひょと、光子さん真ん中に入れて枕並べながら薬飲みましてん。……はあ? そら、そうですねん、何でその時、私だけ一人残されるいうこと思いましたやろ、明くる日眼エ覚ました時にも、直きに二人の跡追おう思いましてんけど、ひょッとしたら、生き残ったん偶然やないかも分れへん、死ぬまで二人に欺されてたのんやないやろかいう気イしましたら、あの手紙の束預けなさったことにしたかて疑がわしいになって来て、折角死んでも彼の世で邪魔にしられるのんやないかと、ああ、……先生、(柿内未亡人は突然はらはらと涙を流した。)……その疑がいさいなかったら、……今日までおめおめ生きてる私やあれしませんねんけど、……そうかて死んでしもた人恨んだとこで仕方あれしませんし、今でも光子さんのこと考えたら「憎い」「口惜しい」思うより恋しいて恋しいて、……ああ、どうぞ、どうぞ、こない泣いたりしまして堪忍して下さい。