Japanische Klassiker mit Furigana
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げんばくししゅう
原爆詩集
峠 三吉
Lesen Sie 原爆詩集 (げんばくししゅう) von 峠 三吉 (とうげさんきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.927 Zeichen · 43 Bildschirme
景観
あなたは
死ぬまで人にあわぬという
崩れる家にもぎとられた
片腕で編む
生活の毛糸は
どのような血のりを
その掌に曳くのか
風車がゆるやかに廻り
菜園に子供があそぶこの静かな町
いく度か引返し
今日こそあなたを尋ねゆく
この焼跡の道
爬虫のような隆起と
柔毛一本生えぬてらてらの皮膚が
うすあかい夕日の中で
わたくしの唇に肉親の骨の味を呼びかえし
暑さ寒さに疼きやまぬその傷跡から
臭わしい膿汁をしたたらせる
固いかさぶたのかげで
焼きつくされた娘心を凝らせるあなたに対い
わたしは語ろう
その底から滲染み出る狂おしい希いが
すべての人に灼きつけられる炎の力を
その千の似姿が
世界の闇を喰いつくす闘いを
あたらしくかぶさる爆音のもと
わたしは語ろう
わたしの怒り
あなたの呪いが
もっとも美しい表情となる時を!
景観
ぼくらはいつも燃える景観をもつ
火環列島の砂洲の上の都市
ビルディングの窓は色のない炎を噴き
ゴーストップが火に飾られた流亡の民を堰止めては放出する
煙突の火の中に崩れ 火焔に隠れる駅の大時計
突端の防波堤の環に 火を積んで出入りする船 急に吐く音のない 炎の汽笛
列車が一散に曳きずってゆく