Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
で、山を出るにしても、先ず谷へ下るのであるが、これが川の生長に伴うのだから面白い。朝、雪解の水が点々と滴り落ちているあたりを立って、昼には広い河原で最後の弁当を食い、夜は大河の畔の宿屋で寝ていたりすることがよくある。
山へ入る時憂鬱な私は、出る時は、多くの場合陽気である。もちろん山に別れる悲哀はあるが、これはむしろ翌日汽車の窓から振りかえる時に多く感じるので、現に山を下りつつある時には、ひたすら、一刻も早く、麓の町に着こうと努める。やはり、人が恋しいのだろう。
山から下りながら、人間の力が如何に山にはい上りつつあるかを見るのは、まことに興味が深い。一本二本、木が伐ってある。急な斜面に粟がつくってある。掘立小舎、芝土を置いた橋、小さな祠、そして最後に人家。
一昨年の六月、信州から立山を越して富山へ出た最後の日には、女が目についた。紺の香りも新しい揃いの単衣に、赤いたすき、姉さんかぶりで田植をしているのを見た時には、美しいとさえ思った。立山温泉から芦峅寺まで、人のいやがる長い路だが、一里ごとに人間の仕事の跡が増して行って面白かった。だんだん路幅が広くなり、馬糞の数がふえ、ついに夕暮の芦峅寺へ着くと、村唯一の銭湯の前に田植馬の湯銭は三銭とか書いた札がはってあった。