Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
稲の取入れ、軒端に積んだ薪、土聞の馬鈴薯……冬が山から下りて来る、その冬に対して里が、いわば長い合戦の準備を終えた心強さと、内に籠ることのあたたかさとを、都会に住んでいて想像するのである。
山に登っていて初雪にあったことは、只の一度しか無い。十五年ばかり前の秋、ドイツにいてリーゼンゲビルゲの麓に行き、シュネーコップフというのに登った。初めの間はいい天気だったが、八合目あたりから霧により、登るに従って霙まじりの猛烈な風に変った。一体霙というと、雪と水の合の子みたいなものだが、この時のは雪よりも氷に近く、手や頬が痛く、その烈しい吹き降りの中を、平な頂上で路に迷い、女をまぜての六人の一行だったが、悲鳴をあげた者さえあった。それでもやっと下山口が見つかり、草地から樅の森をぬけると、あかるい日が照っていた。朝から七時間も歩いて、ヘトヘトになった一行は、大きなホテルのガランとした食堂で弁当をくい、珈琲よりも豆の方が多いようなカフェをのんだ。このカフェが、すくなくとも私には素晴らしく利いて、そこから三時間ばかり麓の宿屋に着く迄、ほかの人のルックサックを背負ったりした。