Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
あくる日は快晴、樅の梢の上に頂上が真白に光っていた。熱を出してねこんで了った一人を残して、我々は森の中へブラウベーレという小粒の木の果を摘みに行った。ジャムにするのである。
実際初雪が降っている山を歩いたのは、この時きりだ。今年は十月のはじめに高瀬川を入って槍に行く予定で、すでに同行者もきまっていたのだが、シナの事件で駄目になった。行っていたら、どこかで初雪、あるいは二番目の雪にあったことであろう。厳冬ではないが、アノラックだけは持って行く気でいた。
山の麓にいて初雪を見たことは、何回かある。大抵の場合、里は時雨れていて、夜など、どうにも寒い、炬燵でのむ酒が思わず定量をすぎる。こんな時だ、朝、目をさますと山は雪。粉砂糖をふりかけたように見える。中腹は黒ずんだ紅葉、麓はあざやかな黄や紅。たびたび時間が訪れ、はれ上るたびに雪が山を下りて来て、ついには里も冬になる。日本アルプスだけではない。私が今住んでいる場所でもそうだ。これから追々冬になるにつれ、とても冷える夜など、六甲はきっと雪だと思い、翌日はやく目をさますと、六甲は晴れていれば果たして雪。雲がかかっていればきっと雪が降りつつあるのだ。