Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

お銀様は眼を凝らしてその挙動をながめていました。

その沈黙が暫く続いてから後、

「もし、あなた」

お銀様は枕許へ坐って優しい言葉をかけました。この時も返事はありません。

「針がここへ刺さって痛くてたまりません、誰か抜いて下さる方があればいいのに」

お銀様は独言を言いました。それでもなんとも挨拶がありません。

「半分、この肉の中へ折れ込んでしまっているのですから、とても抜けやしませんね、どんな大力の人だって、この針ばかりは抜き取ることはできやしません、抜かないでおくと、きっとここから肉が腐りはじめるでしょうよ、そうしているうちに、この手を切ってしまわなければ、身体中が腐ってしまいましょう、悪いことをしてしまいましたね」

お銀様は、独言を言って、折れた針の創から滾々と湧き出す血汐を面白そうにながめています。竜之助はそれを聞いているのか聞いていないのか、相変らず死んだもののように寝込んでいるのは、よくよく疲れきったものと見えます。

「もし、あなた、私の身体が腐ってもいいのですか」

お銀様は物狂いでもしたように、荒らかに竜之助を夜着の上から揺ぶりました。それでも答えがありません。