Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
酒を多く飲めば酒乱の萌しがあり、今も飲んだ酒が醒めたというわけではないのですから、主膳は赫と怒り、一時に逆上せあがりました。病床からよろよろと這い出して、あぶない足を踏みしめると、長押にかけた槍を取卸しました。逆上すると槍を取るのが神尾の癖であります。
「騒々しいわい、者共、何が面白くって踊るのだ」
槍をしごいて縁側から庭へ飛んで下りました。けれども、今宵に限って誰もお危のうございますと言って止める者はありません。荒れ出した神尾主膳は、この手槍で真一文字に庭の石燈籠へ突っかけて行きました。それが真面に石燈籠へ当ったら、槍の穂先もポッキリと折れるのでしょうが、燈籠の屋根の上を掠めて流れたから、そのハズミで主膳は石燈籠へブッつかって、と後ろへ倒れました。
神尾主膳は、起き上って手近な植木を滅茶滅茶に突き立てます。主膳の眼には石燈籠も立木もみんな人間に見えて、当るを幸い、それを突き伏せていることに、少なからず痛快を貪っているようなあんばいです。幸か不幸か、いくら荒れ狂っても相手が石燈籠であり、植木であるから、手答えはあっても手向いはありません。それに、一家を挙げての留守と来ているから、荒れたい放題に荒れたところで、それを取押えようとする者がないから、神尾主膳は思うままにその酒乱と逆上とを発揮することができました