Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
こう言って、今度は、たしかにこの土蔵の前を立去って、母屋の方へ行く足音がします。
お銀様は神尾の挙動がわからないから、この時も負惜みの捨台詞だろうと思って、やはり七分の冷笑気味でおりましたが、暫くして、また足音が聞え出したので、オヤと思いました。さても執念深い、力が尽きて、テレ隠しの捨台詞で、母屋へ逃げ帰って寝込んだものだろうと思っていたところが、たしかにまた、やって来た。
「さあ、どうだ、お喋り坊主、この蝋燭で焼き殺してくれるぞ」
その声を聞いたお銀様がたちあがらないわけにはゆきません。事実神尾主膳は、母屋へ行って蝋燭へ火をつけて来ました。さいぜんのガサガサは、実にこの土蔵の戸前を焼こうとする材料を集めていたのだと気のついた時には、決して好い心持はしません。
神尾主膳はたしか、提灯へ入れて持って来た蝋燭を裸にして、それを積み上げた枯葉と木の枝と薪の中へ突込んで、火をつけはじめたものです。それと覚ったお銀様がじっとしておられないのはその道理です。
主膳のやりそうなことであると思いました。酒に乱れて惨忍性を発揮せられた時の神尾は、たしかにそのくらいのことはやり兼ねません。