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Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

三十前後の壮漢が、老人の殼から抜けて出た。

その翌日のことであった。

香具師はお城へ出かけて行った。

「おお香具師か、よく参った」尾張宗春は愛想よく云った。

「さて殿様」と香具師は、気恥しそうに小鬢を掻いた。「ええご愛妾お半の方様へ、献上物を致し度いので」

「ほほう」と宗春は呆れたように「これは不思議だ、どうしたことだ、お前とお半は仲悪ではないか?」

「はい左様でございます。で仲宜く致したいので」

「おお然うか、それは結構。同じ俺に仕えている者が、仲が悪くては気持が悪い。仲宜くしたいとは宜く云った。よしよしお半を呼ぶことにしよう。……これよ、誰かお半を呼べ」

間も無くお半の方が来た。

「これはこれはお半の方様、ご機嫌よろしうございます」ニタニタ香具師は世辞笑いをした。

「これこれお半、香具師がな、お前に何か呉れるそうだ。それを機会に仲宜くするよう」

「まあまあ左様でございますか。この妾への下され物、さあ何んでございましょう」お半の方は柔かく笑った。

「はいはいこれでございます」

壺と吹管とを取り出した。

「唐土渡来の幻覚眠剤、この吹管へ詰めまして、寝乍ら一服喫いますと、何とも云えない美しい夢を見つづけるのでございます」