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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

もしも「その話は聞いたよ」とでも云えば、逆にもう一人べつの彼女をひきだしてきて、それこそ二、三日は気が沈むほど聞かされるのがおちであった。――顔はおもながのようでもあり、まるいようでもあり、また、そのどっちでもないようでもあった。眉もはっきりせず、眼は細く、唇は厚く、鼻は蜜柑の皮のように穴だらけだし、顔いちめんにきびを潰した痕だらけである。一メートル六〇そこそこの身長を、「五尺七寸たっぷり」だと自慢し、それを証明するためだろう、人の見るところではいつも背伸びをしていた。

或るとき、この「街」の真吾さんについて、一人の警官が徳さんの家をおとずれた。まだ若い警官で、初めに隣りの島悠吉にきき、それから徳さんの家へ来た、ということがあとでわかった。

「なんですか」警官の姿を見るなり、徳さんはがたがたふるえだした、「なんの用ですか、あっしは竹家のことには関係なしですよ」

「あんたのことじゃない、あんたには関係のないことなんだ」警官は手帳を繰りながら、彼のほうは見ずに云った、「きみは戸部真吾という者を知ってるかね」

自分のことではないと知ったとき、徳さんの硬ばった表情がゆるみ、躯のふるえが止った。