Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

初め水道端でみかけたときは、新しく移って来た人だと思い、こんなところに住むような人柄ではないとか、可愛い顔をしているとか、小さくて軽そうなあの躯つきを見ると女のあたしでも抱いてあやしてやりたくなるなどと、かみさんたちは云いあった。しかしそれは二日ばかりのことですぐに事実がわかると、かみさんたちの評は逆転した。

「おどろいたね、押しかけ女房だってさ、いいとしをしてなんてこったろう」

「平さんも平さんだ、あんなおばあちゃんに入れあげてたとは思わなかったよ」

「あの顔つきを見な、あの躯つきを見な」とあるかみさんは云った、「あたしの昔よく知ってた人にああいうふうな人がいたけれどさ、あれは人並はずれていろぶかい性分だよきっと、五十になっても六十になっても、からだはいろざかりでちっとも衰えないっていうくちさ、よく見てみればわかるよ」

「それだもんであんた、抱いてあやしてやりたいなんて云ったんだね、いやらしい」

「へえ、いやらしいって」とそのかみさんは反問した、「おまえさん知ってるのかい」

意味は違うが、かれらは知らないのだ。平さんの小屋では、かみさんたちの想像するようなことはなにもおこらなかった。