Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

平さんは身動きもしなかった。

「あなたがこんなになってしまって、もう二十五年以上にもなるのに、あたしはどうしたらいいんでしょう」

また或る夜、彼女は細くつきつめた声で訴えた、「あなたも苦しいおもいをしたでしょうけれども、あたしもずいぶん辛いおもいのしどおしでした、亡くなった母はあなたに申し訳がないって、死ぬまであたしを許してくれなかったし、母が亡くなったあとは、自分で自分を責めたり憎んだりしてきたんです」

これらの言葉は、幾十たびとなく繰り返して覚えたせりふのように、順序よくすらすらと語られるのであった。苦しいとか、辛いとか、死ぬまで許されなかったとか、自分を憎んだ、などという強い意味のある言葉が、あまりによどみなく語られるため、その強い意味を失って、しらじらと平板な感じしか与えないようであった。

「人殺しのような重い罪を犯した者でも、事情によって、苦役が終れば許してもらえるっていうじゃありませんか」或る夜はそう云った、「もしもこうすればあなたの気が済むということがあったら、そう云って下さい、あたしどんなことでもしますから」

平さんはなにを云われても答えなかった。