Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
かつ子が伯母からそういう労りや感謝を、期待していないことも明白であった。伯母が退院してからの労働過重で、眠る時間がさらに短縮されたため、ひるま仕事をしながらもときたま居眠りするようになり、そのたび伯母に呼び起こされる結果、やがて眼をつむらずこっくりもせず居眠りができるようになった。意識的なうそ眠りではなく、呼び起こされるのを避ける自衛本能のようなものだったろう、しかも仕事をまちがえるようなことはごく稀にしかなかった。
「あんた、なにしてるの」或る夜半におたねが、声をひそめて呼びかけた、「そこでなにをしてるの」
「いま鼠がね」と京太のとぼけたような答えが聞えた、「ここに鼠がいたもんだからね、あぶないから」
「ねぼけてるのね」
「いなくなったよ」京太はぐずぐずと云った、「いま鼠がちょろちょろとここを、――そうなんだ、こっちからこっちのほうへさ」
「あんたねぼけてるのよ」
「おれが、――ねぼけてるって」
「こないだの晩もねぼけてたわ、おかしな人、子供みたい」
やがておたねは床ばらいをし、生活は平常に戻った。この期間かつ子は一と言のぐちも云わず、不平らしい顔つきもみせなかったけれど、近所の人たちは彼女がおどろくほど痩せ、顔にもやつれのみえるのに気づいた。