Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
いちどはショックを受けたらしいが、殆んど瞬間的なことで、おたねのようすにはとりみだすとか、感情の昂奮などというものは少しも認められなかった。
伊勢正の店には制服警官や私服や、白い上っ張りを着てはいるが、明らかに警察関係の者とみえる人たちが六、七人もいて、おたねにはわけのわからないことを、ひどくいそがしそうにやっていた。かつ子は警察へ護送され、被害者の岡部定吉は応急手当をしたうえ、近くの草田病院へ運び去ったあとであった。
おたねを同行して来た警官は、そこにいた私服の男に彼女を渡して去った。私服の男は堀内という刑事だそうで、簡単におたねからメモを取ると、いっしょに署までゆこうと云った。
「わたしそのまえに、伊勢正さんの小僧さんのおみまいがしたいんです」おたねはそう云い張った、「かつ子は警察に捉まってるから、いそがなくっても間違いはないでしょう、小僧さんの傷がどんなだか心配です、お詫びもしたいと思いますから」
堀内刑事はちょっと考え、もう一人の髭をはやした私服の人に相談したのち、それなら自分がいっしょにゆこう、と云った。――酒屋の付近には、大勢の人たちが騒がしく往来したり、こそこそ話をしたりしていた。