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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「確かに次官はでたらめを云っているのではなかった」すぐにまた春彦は続けた、「まもなく統制経済になり第二次世界大戦になった、市電のレールまで外していくほど鉄不足になったんで、さすが次官ともなれば先見の明のあるもんだと感心したね、それはいいんだが、敗戦になってさ、こんどは国鉄だろう、それがきみ能率増進か合理化のためか知らないが、継ぎ目なしレールを採用することになった、ぼくのアイディアの盗用さ、戦前の事は戦後政府は責任をとらないたてまえだって云うがね、世界的に知られた日本の大国鉄ともあろうものが、ぼくのような貧しい、弱い、孤立無援の者のアイディアを盗用して、それで良心に恥じないもんかね」

七代目は六法全書をすっかり調べあげてから云うように、極めて慎重、かつ正確な口ぶりで、「特許局へ訴えたらどうか」と云った。ちょろは首を振った。

「特許がとってあればだがね」とちょろは答えて云った、「あの次官が採用してくれそうだったら申請か、いや出願かしようと思ったんだが、次官に云われてみるとそれもむだなような気がしたし、なにより先立つものがなかったからね」

ばんくんの眼が静かに細まり、そのうしろへ彼自身が引込むようにみえた。