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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

十人の――正確にいえば九人の妻が去ったのも、話し相手であるかぼちゃが六人まで逃げだしたのも、春彦のそういうちょろ的性質が、耐えがたく忍びがたかったからであろう。春彦は自分で「話し相手がいないと一時間もすごせない」といっている。それと同時に、どこから引張って来るのかわからない話し相手にも、――すなわちかぼちゃであるかれらにも、相手が逃げだしてくれなければ、春彦のほうで飽きてしまったらしい。従来は彼が飽きるまえに、みんな相手のほうで退散してくれた。したがって七代目であるところのばんくんも、当然その例外ではない、と考えていたのであろう。人間はこの種の慣性にしばしば欺かれるものだ、例えばゆきつけのバーかなにかで、いつも勘定はこのくらいだからと安心して、そのくらい持っていってそのくらい飲んだにもかかわらず、いや、――要するに、七代目かぼちゃは、春彦の予想をまんまと裏切ったのである。

ばんくんは他の六人のかぼちゃとはまったく違っていた。あらゆる点で違っていたし、もっとも本格的なかぼちゃであった。

そこで両者の立場は逆になり、土川春彦のほうで逃げだした。渾名のとおりすばやく、ちょろちょろと消えてしまったのだ。