Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

ボディーを手で叩き、跼んで、ボディーの下の車軸や、エンジンの連結部を眺めたりするのだ。

「しゃあねえな」六ちゃんは頭を振って呟く、「整備のやつ、なにょうしてるんだ、なっちゃねえじゃねえかな」

彼はドライバーを使ってどこかを直し、ペンチを使ってどこかを直し、軸受のところを足で蹴ってみる。もういちど蹴ってみて、首をかしげて舌打ちをし、さも不満そうに舌打ちをする。

「もうこいつも古いからな」六ちゃんは怠け者の整備係に譲歩して呟く、「やつらに小言を云ってもしゃあねえだろう」

終って顔を洗い、朝めしが済むと出勤であるが、おくにさんがしょうばいの材料を買出しにゆく日は、帰って来るまで待たなければならない。買出しはたいてい一日おきであるが、毎日のときもあって、すると六ちゃんは苛立っておちつかず、こんなに遅刻が続いては成績に影響する、と不平を云うのであった。

出勤するときは勝手へまわる。例の蜜柑箱から制帽を取ってかぶり、油じみた軍手をはめ、コントローラー用のハンドルと名札を取りあげる。右のうち現実に存在するのは軍手だけで、他の三品が客観的には架空なものなことは、まえに記したとおりである。