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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

――彼の繩張がどこまで広いか見当もつかない。この界隈はもとより、中通りから本通りのほうまで、彼の勢力圏にはいるようだ。云うまでもないが、これは実力で獲得したものであり、この範囲内では、かなり古参の犬でさえ彼にちょっかいをだしたため、片眼を失ったり、耳を食い千切られたりしたものが四、五匹はいた。

いまでは挑戦するような犬もいないし、たまにそんなおろかなやつがあらわれても、彼のほうで暴力をふるうことはなかった。単に立停って、じろっと見返すだけでいい。相当あたまの悪い喧嘩好きな犬でも、とらのその眼つきを見るだけで尻尾がさがってしまう。自然に尻尾がさがり、今日はまたなんていやな空模様だろう、とでも云いたげに、天のほうを見あげたり、または急に用を思いだしたといったようすで、あらぬ方向へ走り去ったりするのだ。

彼が暴力をふるうのは交尾期だけである。いまでもその期間には、彼がいかにボスのナンバー・ワンであるかを、現実に見ることができた。――ここに一匹のみめよき雌猫がいるとする、まず若い雄猫たちが彼女を囲んで、恋のセレナーデを競いあい、うたい勝ったやつが彼女に近づくのをきっかけに、かれら独特のレスリングが始まる。